どうして彼は、私を傷つける事ばかりするんだろう……。
そんな『鉛』の様な彼が『黄金』の彼に変わったら素敵ですよね。
しかし、古今東西、錬金術は失敗してきました。
そう、今も、日本中、いえ、世界中で、彼を『錬成』しようと躍起になっている、『恋愛アルケミスト』の錬金術師さんが、沢山いらっしゃる事と思います。
そして、例外なく『錬成』に失敗している訳です。
しかし、歴史上、本気で鉛から金を作り出そうとしてきた方達は、ふざけている訳では無く、真剣に取り組んで来ました。
もちろん、恋愛アルケミストの方々も、今この瞬間、真剣に取り組んでいるのは、分かります。
錬金術は物理現象の世界の話しなので、確かに物理の法則を超えた事は無理があるでしょう。
しかし、ここで対象として取り上げている、彼、『相手』という存在は、物理ではありません。
対象は『精神・マインド』になります。
つまり、物理場の法則は通用しない訳です。
となれば、変容を促す事は、けして無理では無いのです。
にも、関わらず、ほぼ全ての『恋愛アルケミスト』の方々が失敗し続けている理由は何でしょうか?
意識が自分主体になっているから……。
確かに、それは原因のひとつとして間違いなくあるでしょう。
しかし、ここでは、もう少し『学者的』な雰囲気で進めていきたいと思います。
それは、あなたが、『幽霊と戦っているからです』
映画ではゴーストを相手に剣を振りかざしても、ダメージは与えられません。
これが全ての答えです。
私達がやっている事は、そもそも、ダメージが与えられていないわけです。
実体が無いものに対して影響を及ぼそうとしても、それは空気を掴むようなものです。
彼は、そこに居るようで、そこに居ないのです。
物理的には、もちろんそこに居ます。
しかし、『鉛の彼』はそこに居ません。
学校でイジメが起こりました。
しかし、どんなに学校がイジメの防止策をとっても無くなりません。
いじめっ子はイライラしていました。
ストレスを抱えて居たのです。
その原因は、何でしょうか?
家に帰ったら、お母さんとお父さんが、仲が悪いのでしょうか?
だとしたら、なんでお母さんとお父さんは仲が悪いのか?
お金に困っているから?
それは、お父さんの会社が倒産したから?
そのせいで、仕事が中々決まらないから?
今、何かに困っているとしたら、その困っている事『そのもの』には原因がありません。
その一つ、外側に原因があるのです。
または、二つまで遡っても良いかも知れません。
彼を、変えようとするなら、彼を変えようとしても、それは幽霊です。
どうして、幽霊に剣を振りかざすでしょうか?
意味がありません。
彼の実体は、彼の一つ外側の『縁』にあります。
彼が『鉛』なのは、彼の外側の『縁』が彼を『鉛』にしているのです。
彼を『黄金』に変えたければ、彼の外側の『縁』の方を対象として、行動すれば良いのです。
今、目の前に居る彼は『幻想』です。
その『実体』は、彼の外側にあるのです。
そこに本気で切り込んでいく気持ちがあるのであれば、正にゴーストの本体を探し当てたかの如く、ダメージが与えられます。
ダメージとは言葉が悪いですが、要は、はじめて本質的な影響を与えられるという意味に他なりません。
その時、あなたは、人類初の錬金術を成功させた一人となるのです。