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成功を引き寄せるたった一つの方法!道を知っている事と歩く事は違う!




あなたは捉えられています。

悪い奴らに捕まったのです。

場所は、分かりません。

あたりには物が散乱しています。


 

ちょうど、天井から『ミノムシ』の様に吊されて縛られています。

あなたは、なんとか逃げだそうと身体を揺らしますが、時計の振り子の様に振る舞うだけで、何の進展もありません。

部屋の中を見回すと、テーブルの上にはナイフが置いてあるようです。

幸い、後ろ手に縛られているだけですので、天井から吊されている、このロープさえ切れて

床に落ちることさえ出来れば、後は身体をよじらせて、ナイフを手にできます。

そうすれば、逃げ出す事が可能です。

犯人はいつ戻ってくるか分かりません。


 

天井を見るに、私を吊したロープは梁に結びつけられている様でした。

私は考えました。

しかし、方法はひとつしか思いつきませんでした。

手も足も出ないのです。

身体を揺らし、縄と梁の摩擦で、切るしかありませんでした。

考えている余裕はありません。

奴らはいつ戻ってくるか分かりません。

私はとにかく、何度も何度も揺らしました。

次第に、縄がささくれ立っていくのが見えました。

この調子なら、なんとかなりそうです。

しかし、ささくれ立ってはきているものの、想像と違い、中々それ以上には進みませんでした。

夜が明けました。


 

私は夜通し揺れていたようでした。

疲れてはいましたが、そんな事を考えている時間はありません。

無我夢中とは、この事です。

私は、すでに何日が過ぎたのかも認識していませんでした。

もう、頭が朦朧としていたからなのかもしれません。

ロープはもう、半分ぐらいは切れかかっているのです。

しかし、一向にそれ以上が進まないのです。

私は何度も挫けそうになりましたが、諦めませんでした。

それから、おそらくは数日が経った頃、私の体力は限界を向かえていました。

もう、無理だと悟ったとき、天井裏からネズミがやってきました。


 

そのネズミは梁の上を橋のように渡り、私を縛っているロープの所までやってきました。

何をしているんだろうと思いきや、なんと、そのロープを囓り始めたのです。

それを見た私は、ここぞとばかりに最後の力を降りしぼったのです。

私とネズミの共同作業が始まりました。


 

もう少しです。

あと少しでロープは切れるのです。

そして、私が渾身の力で最後の一降りを決めた瞬間。

弾けるような音と共に、私は床へと落下しました。

打撲と軽傷は負ったものの、幸い骨折はしていないようでした。

私はすぐさま、テーブルの上のナイフまで、飛び跳ねながら近づいていき、後ろ手に握りしめました。



 

それから数ヶ月……。

無事、逃げ出す事に成功した私は、あの時を振り返っていたのです。

ロープを切ろうとしていた時は長かった。

しかし、切れるのは『一瞬』だったと。


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